プロポフォールって最近有名!?

一般名プロポフォール、代表的な商品名ディプリバン。手術室あるいは集中治療室に勤めている人間で知らない人はいないでしょうね〜。

さて、今回のテーマは、


  1. 冒頭だけどまとめ(これだけは覚えよう)
  2. この本がおすすめ
  3. プロポフォールってどんな薬?
  4. プロポフォール注入症候群(PRIS)について教えて!
  5. (おまけ)プロポフォールで眠る間際に患者さんが口走ったこと
  6. 今回出てきたキーワードでそのうち特集するもの

ということでやっていきたいと思います!

1. 冒頭だけどまとめ(とりあえず普通はこれだけ覚えればOK!)

  • 使用量などは下記の本を見てね。
  • 多少循環抑制はあるけど、早く効いてすぐ切れて目覚めも爽やか!いい薬だ!
  • 大豆アレルギー、卵黄アレルギーには使うな!(あまり出会ったことはないけど)
  • プロポフォール注入症候群っていう恐ろしい合併症があるけど、長時間大量に使用しなければ普通は大丈夫!でも子供にはICUでは使うな!(手術麻酔では一般的に使用されています)

2. この本がおすすめ

看護師さんや研修医の先生たちは黙って一番左の買っとけ!!o(^o^)o(讃岐先生の本はわかりやすい)。後ろのはより詳しく知りたい人に。画像のメタルスライムが気になる方は右の端から 笑

         

3. プロポフォールってどんな薬?

今回はプロポフォール(ディプリバン®)のお話です。昨今何かと話題の麻酔薬です。

世間に名前が広まったのは某King of Popがこれで亡くなってしまった事件でしょうか。「僕のミルク」って呼んでいたみたいですが・・(^^;;最近では術後にICUの鎮静に使用して小児が亡くなってしまった痛ましい事故がありました。

プロポフォールに限らず使い方を誤れば危険なのが「薬」というものですが(特に麻酔関連薬)、適正に使用することでリスク以上の恩恵が得られます。というわけでプロポフォールについて見ていきましょう。

一般的に用いられているのは単回投与用に200mg/20ccのアンプル、持続静注用あるいはTCI(別稿で取り上げます)に500mg/50ccのシリンジでしょう(他にもありますが)。

まず見た目の特徴として、「白い」ですよね。あれは添加剤で最も多い大豆油のせいです。同じような薬剤、見たことないですか?そう、フルルビプロフェンアキセチル(ロピオン®)です。あれにも大豆油が含まれています。他には濃グリセリンや精製卵黄レシチンなど。

昔は静脈麻酔薬と言えばチアミラール(イソゾール®)やチオペンタール(ラボナール®)などのバルビツール酸系薬剤が主役でしたが、現在では特に問題のない患者さんの普段使いの麻酔導入薬としてはプロポフォール一択といってもいいくらい使用されています。

理由としては、作用発現が早く、作用持続時間が短く、覚醒の質もよく、さらに蓄積性がない(バルビツール酸系はここが問題)、ついでに言うと気管支収縮作用もない(バルビツール酸系はここが問題)ということで非常に使いやすいです。そのためICUでの鎮静にも用いられることがとても多いです。ただ、鎮静に関しては最近はデクスメデトミジン(プレセデックス®)に押され気味な感はありますけどね〜;適応も拡大しましたし。

成分にダイズ、卵黄レシチンが含まれていることからこれらのアレルギーがある人には原則使えませんが、◯◯アレルギーって偽物もホント多いんで困りますよね・・。「◯◯アレルギーの気(け)があるって言われました〜」。〜のけってなんやけってって話です

そのほかには、脳代謝率、脳血流ともに低下させ、頭蓋内圧を低下させるため、脳外科手術や脳出血・脳梗塞・頭部外傷患者での手術・術後鎮静にもよく使用されます。

唯一あれなのが、「血管痛」があることですかね〜。痛がる人は相当痛がります(昔のプロポフォールからは改善されてるみたいですが)。以前の麻酔科の関連学会の発表ではプロポフォールの血管痛対策の発表が色々ありました。血液混ぜたり、局所麻酔薬混ぜたり、フェンタニル投与後や、レミフェンタニルを十分流してから投与したり、ロピオン®同時投与したり、駆血して局所麻酔薬を打ってその後に投与したり(整形外科のBierブロックのように)など色々工夫されてました。ちなみに当院でも使用している丸石製薬のプロポフォールは脂肪乳剤の組成が中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸が混合されているようで、血管痛が少ないです(確かにいまのに変えてから実感としても減った感じがします)。

とにかく使いやすくていい薬です!

つづいて血管痛や少々のアレルギーなんか問題にならないくらい重篤な合併症であるプロポフォール注入症候群(PRIS)についてお話します(だらだら長いので興味なければ飛ばして結構です)

4.プロポフォール注入症候群(PRIS)について教えて!

最近のプロポフォール関連のトピック(と言ってももう古いかな・・)はプロポフォール注入症候群(PRIS:Propofol Infusion Syndrome)ですね。麻酔科の専門医試験でも何度か問われています。

その名の通り、プロポフォールの投与によりさまざまな症状を生じる合併症であり、致死性です((((;゚Д゚))))。小児の鎮静で用いられていた際に発症したものが報告され、以降もそういった報告がつづき広く知られるようになりました。一応「5mg/kg/時で48時間以上投与した場合」とされていますが、それより少ない用量、少ない投与時間、小児だけでなく成人でも、ICU鎮静中だけでなく麻酔中でも見られた場合があります(;´д`)トホホ…

ではどういった症状が見られるのでしょうか。

  • 代謝性アシドーシス(乳酸性)
  • 横紋筋融解症(CPKの上昇)
  • ミオグロビン尿(ハプトグロビンはミオグロビンに結合しないので無効)
  • 急性腎不全
  • 高カリウム血症
  • 心電図変化(Brugada症候群で見られるcoved型)
  • 不整脈
  • 心停止
  • 肝腫大 etc…

いや、ろくなもんじゃないですねʅ(◞‿◟)ʃ。これらを満たす数が多くなると死亡率も上がります。そして、根本的な治療法もなく、プロポフォールの中止と対症療法が中心となります

診断基準としては、現在は乳酸性アシドーシス、高脂血症、筋融解、腎不全の4つのうち2つを満たしたものをPRISとするらしいので、腎不全や心抑制など重篤でなくてもPRISに含まれるため、当初よりも該当症例が増加しています。そのため、みかけ上の死亡率は低下しています。

発症機序なんですが、まぁ専門医試験受ける人以外は覚えなくていいでしょう 笑。ミトコンドリアの障害による遊離脂肪酸の代謝不全(これだけ聞いても実際(´∀`)ウフフですよね)で生じるという説が有力なようですが、カテコラミンや副腎皮質ステロイドとの相互作用や、高脂血症患者との関連も報告されているようです。

プロポフォールは電子伝達系に複数の作用点をもちATP産生能を低下させる。そのためTCA回路がうまく機能しなくなり、ピルビン酸が乳酸へ変換されて乳酸が蓄積する。さらにプロポフォールによりβ酸化も抑制されるため、脂肪酸もエネルギーとして使用することができなくなり、特に、筋肉が大きく障害される。全体として乳酸アシドーシスが先行し、筋肉の障害が続き、腎不全へと進行する。「臨床の疑問に答える 静脈麻酔Q&A99 内田整 編 羊土社 105p」

治療法が確立されていない以上、努めるべきは予防と早期発見ですよね。ICUでの長期プロポフォール投与中または投与の予定がある場合には、CPKや血液ガス測定(乳糜血清も見られることがある)によるスクリーニングが必要になってきます。また、心電図の変化やミオグロビン尿の出現にも注意を払っておく必要があります。

予防方法としては LISA VOL21 No.10 2014-10 997p で、

1.患者に脂質異常症、肝機能障害、高乳酸血症、ミトコンドリア病がないかを調べる
2.プロポフォールの投与量を4.5mg/kg/hr以下とし、48時間以上の持続投与を避ける
3.脂質代謝を抑制するために、炭水化物は十分量(6〜8mg/kg/min)投与する。
4.併用する脂肪乳剤に注意する
5.乳酸産生を抑制するため、末梢循環を保ち、低酸素血症を避ける。
6.プロポフォールによる鎮静を長時間行う場合には、CPKを毎日測定し、5000U/Lを超えるようなら、ほかの鎮静薬に変更する。
7.血清の性状(高脂血症、ミオグロビン血症のチェック)、動脈血ガス分析時の乳酸値、尿の色、腎機能に注意する。
8.心電図の変化(不整脈、右胸部誘導でのBrugada様ST上昇出現)に注意する

などが挙げられています。

初期症状の一つとしては乳酸性アシドーシスがあります(小児でも成人でも高確率)。ただし、乳酸アシドーシスを呈する病態は以下のようにいろいろとあるので鑑別が必要になってきます。多くは嫌気性代謝が絡みます。

1.末梢循環不全
2.低酸素血症
3.低血糖
4.肝血流低下
5.高度貧血
6.薬物性(アスピリン、アセトアミノフェンなど)
7.一酸化炭素中毒
8.ミトコンドリア脳筋症など乳酸産生性疾患

また、横紋筋融解やミオグロビン尿、それに伴う急性腎不全をきたす疾患として代表的なものに、

1.悪性高熱症
2.悪性症候群
3.セロトニン症候群
4.コンパートメント症候群

などがあるため、鑑別が必要です。PRISは筋強直や発熱は生じませんので、その点からも鑑別が可能です。

では、実際に生じた場合、または疑われた場合にはプロポフォールの中止と対症療法が行われます。プロポフォールは体内での分布容積が大きいので、血液透析やろ過などはあまり期待できません(乳酸や中性脂肪の除去はある程度効果あり)。

循環・呼吸不全に対してはPCPS、ECMOなどの補助循環(そのうち特集予定)が使用されます。

5. プロポフォールで眠る間際に患者さんが口走ったこと

みなさん、プロポフォールってどんな味、においがするか知ってますか?いや、まぁ普通は知らないと思うんですが(^^;; 注射器に吸う時に手にかかってしまった際に臭ったことぐらいはあるかもしれません。

ダイズ油やグリセリンを使用しているせいで、油の匂いがプンプンします。自動車整備工場かなんかに入ったような、なんというか懐かしい匂いというか。(^O^)ノスタルジー

では、もう一息、舐めてみましょう(´∀`)ウフフ(いや、なめないでいいんですけど、というかなめちゃだめですね)。はい、口の中が自動車整備工場になりました(;´д`)トホホ…

さて、気を取り直して。

ほとんどの患者さんはプロポフォールを打った後、ものの10秒程度でスゥーっと無言で寝てしまうのですが、稀に何か口走ったのを聞いたことはないですか? 私が経験したものを下に挙げておこうと思います 笑

「おぉ〜・・きたきたきたきたきた〜」

「はぁ〜・・こぉーりゃ気持ちえぇ〜わ〜・・・」

「すまん、ほんとに悪かった・・」(^^;;ナニシタンダ?

「あぁ〜・・これはくせになるなぁ〜・・・・」o(`ω´ )oダメデス

「#$&%’(<+*{}?%$□△!!!(全部放送禁止用語)」( ̄∇ ̄)ウフフ

 

6. 今回出てきたキーワードでそのうち特集しようと思うもの

  • デクスメデトミジン(プレセデックス®︎)
  • フルルビプロフェンアキセチル(ロピオン®︎)
  • アシドーシス(血液ガスで)
  • PCPS・ECMO(補助循環で)

 

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